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影おくり/上奥まいこ [音楽]

《ちいちゃんのかげおくり》  あまん きみこ 作

(以下 要約)


「かげおくり」いう遊びがあります。地面に映った自分のかげぼうしを十(とお)数える

あいだじっと見つめて、一気に空を見上げるとかげぼうしがそっくり空にうつって見える

というものです。

ちいちゃんは、お父さんの出征の前日にこの遊びを教えてもらいお父さんとお母さん、

そしてお兄ちゃんの家族4人でやってみたのでした。

病弱なお父さんが出征するくらいですから戦争は芳しくないのでしょう。でもちいちゃん

はそんなこととは知らずにお兄ちゃんとかげおくりをして遊んでいました。

ある日、町にも空襲がありました。サイレンの音、燃えさかる町、お母さんはお兄ちゃんと

ちいちゃんの手を引いて逃げました。

でも人ごみのなかでちいちゃんはみんなとはぐれてしまいました。

次の日、ちいちゃんは見知らぬおじさんや近所のおばさんの力を借りて自分の家が

あった所にもどりますが家は焼け落ちてなくなっていました。

「お母ちゃんとお兄ちゃんはきっと帰ってくる」

ちいちゃんはそう信じて近くの防空壕で待ちました。

お母さんたちとはぐれてしまった2日後の朝、ちいちゃんは顔に明るい光が当たって

目がさめたのですがひどくのどがかわいていて、暑いような寒いような気がしました。

ちいちゃんが外に出ると空から「かげおくりの出来そうな空だなあ」と言うお父さん

の声が聞こえました。

「ねえ、今、みんなでやってみましょうよ」と言うお母さんの声も空から降ってきました。

「ひとうつ、ふたあつ、みいっつ」家族の声が重なり合います。

ちいちゃんがやがて空を見上げると四つのかげが浮かんでいました。

「なあんだ。みんな、こんな所にいたから、来なかったのね」

ちいちゃんはそう言うと体が軽くなり空に浮かんでいきました。


夏のはじめのある朝こうして小さな女の子のいのちが 空に消えました。



それから何十年、町には前よりもいっぱい家がたっています。

ちいちゃんがかげおくりをした所は、小さな公園になっています。

青い空の下、今日もお兄ちゃんやちいちゃんぐらいの子どもたちがきらきら

わらい声を上げて遊んでいます。


     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇


 【影おくり】


   作 詞:上奥まいこ


   作編曲:伊藤 心太郎


 乾いた景色が続いてゆく


 優しいマリアが流す涙


 記憶は痛みと傷になって

 

 時計の針だけ眠ったまま

 

 誰かがまた一人 まぶたを閉じても


 この悲しみはまた 繰り返されてゆく


 愛のために 守るために 君の命を奪ってゆく


 残された 二人の影


 君の笑顔をもう一度


 この空に祈るよ


 心を失くしたあの人たち


 ためらうことを忘れたまま


 失くしたものなどどうでもいいと


 怖さも弱さもどこかへ消えた


 黒い雨の中で ゆっくり溶けてく


 何もかもがすべて意味など無いのに


 何のために 誰のために 君の命を奪ってゆく


 行かないで ひとりぼっち


 君と遊んだ影ぼうし


 今空におくるよ

 

 愛のために 守るために 君の命を奪ってゆく


 残された 二人の影


 君の笑顔をもう一度


 この空に祈るよ


(注:ご本人の承諾を得て歌詞を掲載しています)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


お江戸日本橋に《日本橋長崎館》という長崎県の名産品を扱うアンテナショップが
あります。
先日そこで行われた歌手上奥まいこさんのコンサートに行ってきました。
image.jpg
先月26日に発売されたCD<影おくり>の発売記念コンサートです。
まいこさんは長崎市出身で母方の祖母が長崎原爆、父方の祖母が広島原爆の被災を
受けたという被ばく3世ですが、おばあちゃんの戦争体験を歌に込めたのが本作品
です。
まいこさんがなぜこのような戦争を題材にした曲を創ったのか、という動機が奮って
います。
東京で生まれ育った人たちと会話していると8月6日の広島原爆の日や8月9日の
長崎原爆の日を知らない人があまりにも多いことに問題意識を抱いたそうです。
(長崎では小学校の夏休みにおける登校日が8月9日だそうです。そうやって8月
15日よりも特別な日であることを教え込まれているのですね)
長崎に生まれて被ばく3世の自分だからこそ発信できるメッセージという思いを込めて
小さいころおばあちゃんから聞いた戦災のことを思い起こしながら詩を紡いでいった
そうです。
image.jpg
CDのジャケットはかなり大胆に本人の顔をアップしていますが、「影おくり」と
「上奥まいこ」とクレジットされた文字が直角ではなく少し角度がついて記されている
ことに気づく方は少ないと思います。

この角度は長崎の原爆を象徴しているのだそうです。

長崎に原爆が投下されたのは8月9日午前11時2分

11時2分という時刻が示す時計の長針と短針の角度をクレジットされた文字に取り

入れたそうです。


斯くいうワタシも広島の原爆投下時間はテレビなどでしばしばセレモニーなどが放映

されているので8時15分であることは頭に刻まれていますが長崎の投下時間は空では

憶えていなかったのでこのジャケットのお蔭で刷り込まれました。


image.jpg


さてあっという間に予定されていた1時間の公演が過ぎ、観客のリクエストに

応じてのアンコールに移ります。

そうそう、普通アンコールを要望するときの観客の掛け声は「アンコ~ルっ、

アンコ~ルっ」ですが、本日お集まりのギャラリーはまいこさんご出身の長崎県の

方が多数見えられているので、長崎方式「もってこ~い、もてこい」という掛け声の

大合唱が始まりました。

(長崎弁の「もってこい」は長崎くんちでかかる掛け声だそうです)


するとバックで電子ピアノを弾いている作曲家:伊藤心太郎さんの大ヒット曲

にしてAKBで大ブレイクした『恋するフォーチューンクッキー』が始まりました!


しかも写真右側のレディはかつて松本伊代のバックダンサーとして活躍された

『キャプテン』のメンバーだった方ですって。


ワタシを含めたおじさん世代には堪らぬ演出でした。


上奥まいこさんには観客席から「いよっ 和製セリーヌディオンっ」との掛け声が

かかっており、なるほど抜群の歌唱力かつ背がすらりと高くて美人のまいこさんに

ピッタリなニックネームかも、です。

ワタシ的にはまいこさんはキャロルキングのナンバーも非常に得意としていてかつ

オリジナルよりも情感を込めて歌われるので〈和製キャロルキング〉と思っていま

したが、これからは〈和製セリーヌ〉として応援してゆきたいと思います。


それにしても上奥まいこさん、聴き始めてからあっという間に2年が経ちました⇒


が、今後さらなるブレイクをしてゆく予感がします・・・



最後に・・

今日8月6日は広島原爆投下の日、そして3日後の8月9日が長崎原爆投下の日、

今回ブログは戦争の悲惨さに照準を充てた内容からライブの報告へと展開しました

が、締めとして今日と3日後の特別な日に哀悼の意を表したいと思います。




nice!(61)  コメント(14) 

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コメント 14

green_blue_sky

影おくり・・・とは何かというで知らないでしたのでググりました。
話を歌にしたものなのですね。
これから歌が浸透するのは良いことですね。
by green_blue_sky (2017-08-06 21:28) 

きよたん

とてもいい歌詞ですね
終戦後70年以上が経過していますが
犠牲になった人々のこと忘れてはならない事です
ありがとうございました。
by きよたん (2017-08-07 07:51) 

NO14Ruggerman

green_blue_skyさんnice!&コメありがとうございます。
こういう遊びが影送りという名称だということはワタシもよく憶えておりませんでした。
by NO14Ruggerman (2017-08-07 10:19) 

リュカ

じんわりした気持ちになりながら読んじゃいました。
by リュカ (2017-08-07 10:40) 

NO14Ruggerman

きよたんさんnice!&コメありがとうございます。
詩人のきよたんさんのおメガネにかなえて嬉しいです。
よろしければPVもご覧ください。
by NO14Ruggerman (2017-08-07 11:36) 

song4u

こんにちは♪
前回記事には、遠く長崎から高田馬場に繋がる不思議なほどの
強烈な縁を感じましたが、今回はやや異なる印象ですね。
どう申し上げれば適切なのかよく分かりませんが、印象の中心に
「長崎」があるのは、これはもう疑いようがありません。
だけど驚きますよねえ、色々なことがこういう風に繋がるとは。

話は変わりますが、至近距離のライブって最高ですよね♪
と同時に、才能あるミュージシャンなのに、不運というか不遇と
いうか、そういう人たちのなんと多いことか!
ラガーさん、何とかしてくださ~い!!(笑)

さて、本題の『ちいちゃんのかげおくり』。
まったく存じ上げなかったこの作品にすごく興味が湧きまして、
少し調べてみました。
小学校の国語の教科書(3年、光村図書)に載ったのをきっかけに
広く知られるようになったようです。
初版は今を去ること35年前の1982年(昭和57年)8月、児童書の
あかね書房から出ていました。著者50歳の時の作品。
具体的な史実に基づくというよりも、満州生まれで、終戦時には
大連で14歳だったという著者の戦争イメージから産み出されたもの
のようですね。
ちなみに、著者のあまんきみこさんは昭和6年のお生まれ。
まさにラガーさんやぼくのおふくろ世代(正確には1級下)なんですね。
1983年、第32回小学館児童出版文化賞 受賞作品。
本当に素晴らしい作品ですよね。
いいお話、ありがとうございました!
(ちょっと長くなってしまいました。ごめん!)
by song4u (2017-08-07 12:59) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

涙が出てきます。。
昔、修学旅行で広島に行きました。
生々しかったですね。


by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2017-08-07 21:27) 

ponnta1351

良いブログですね。
忘れてはいけない悲惨な出来事、未だに原爆症を発症する人も居る中、それを知る人、伝える人達が少なくなってきています。
広島、長崎の原爆投下までの経緯を読むと、本当に返す返すも何と言う事をしてくれたのか!と憤りに腸が煮えくり返ります。
私の同級生も家族4人が原爆の為にがんを発症、本人も現在闘病中です。
by ponnta1351 (2017-08-08 09:47) 

NO14Ruggerman

リュカさんnice!&コメありがとうございます。
ワタシは1982年(song4uさんコメントご参照)よりもとうの昔に小学3年を迎えたので〈ちいちゃんのかげおくり〉は全く知りませんでしたが、胸に刺さるものがたりでした。
by NO14Ruggerman (2017-08-08 18:46) 

NO14Ruggerman

song4uさんnice!&コメそして作者と作品の情報提供ありがとう
ございます。

ワタシも少し調べてみたのですが、東京大空襲を体験された方から
「ちいちゃん」がひとりぼっちで過ごすことに強い違和感を
抱いたけど、作者が満州で終戦を迎えたという経歴を知り納得した
という意見・感想がありました。

これは野坂昭如の「火垂るの墓」のような実体験に基づいた
ものではなく物語であると理解されたようです。

そこで自分のお袋(ソングさん母上と同級)にも作品を読んで
貰い感想を聞いてみたところ違和感は無いとのことでした。

いずれにしても戦災を実体験された方が少なくなる中、
いろんな形で語り継いでゆくことが肝要であると思います。
by NO14Ruggerman (2017-08-08 22:13) 

NO14Ruggerman

なんだかなぁ~!! 横 濱男さんnice!&コメありがとうございます。
多感な高校時代に修学旅行で広島や長崎に訪れることは
得るものが多いでしょうね。
by NO14Ruggerman (2017-08-08 22:23) 

NO14Ruggerman

ponnta1351さんnice!&コメありがとうございます。
戦災を実体験されているponntaさんからもっともっと
戦時中の色んなことを発信していただきたいです。
by NO14Ruggerman (2017-08-08 22:26) 

ピュアリン

読ませて頂くのが大変遅くなりましたが
とても感動いたしました
ドンドン忘れ去られようとしている戦争の事
語り継がれている事は素晴らしい事ですね
ちいちゃんの影おくり
涙なしでは読めませんでした
上奥まい子さんの事も知らなかったです
この記事を見せて頂いて本当に良かったです
ありがとうございました
本日原爆の被害者 谷口さんが無くなった記事を読みました
核廃絶を訴え続けながら・・・・・ 
by ピュアリン (2017-08-31 12:22) 

NO14Ruggerman

ピュアリンさんnice!&コメありがとうございます。
ワタシも上奥まいこさんの曲がきっかけで
「ちいちゃんのかげおくり」を知ることができました。
<影おくり>と<上奥まいこ>さん、よかったら
応援してくださいね。
by NO14Ruggerman (2017-09-02 23:17) 

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